オーストラリアで話される言語の割合は?英語圧倒的も多文化社会の多言語事情を解説

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基本情報

オーストラリアといえば英語圏の国というイメージが強いですが、実際にはどの程度の人が英語を母語として話し、どれくらいの割合で他の言語が使われているのでしょうか。
移住や留学、ビジネスで現地と関わるうえで、言語の割合や多言語環境を理解しておくことは非常に重要です。
本記事では国勢調査などの最新データを基に、オーストラリアで話されている言語の割合や特徴、多文化社会ならではの言語政策や教育事情まで、専門的な視点で分かりやすく解説します。

目次

オーストラリア 言語 割合の全体像と特徴

まず押さえておきたいのは、オーストラリアには法的な意味での公用語が存在しないという点です。
一般には英語が事実上の公用語として社会のあらゆる場面を支えていますが、憲法や法律で唯一の公用語として定められているわけではありません。これは、多文化・多言語を尊重する国の姿勢とも深く関わっています。

最新の国勢調査では、自宅で英語のみを使用している人が人口の約7割を占めます。
残りの約3割が何らかの非英語言語を家庭内で使用しており、その数は少数言語も含めると250以上に上ります。
つまり「英語の国」でありながら、日常生活レベルでは多言語が共存している社会だと言えます。

このような言語構成は、移民国家としての歴史と現在進行形の人口動態を反映したものです。
ヨーロッパ系移民から始まり、アジア・中東・アフリカなど各地からの移民が加わることで、都市部を中心に言語の多様性が急速に拡大してきました。
オーストラリアの言語割合を理解することは、社会構造や文化的背景を読み解く手がかりにもなるのです。

人口に占める英語話者の割合

オーストラリアの人口において、少なくとも日常会話レベルで英語を話せる人の割合は、実務上ほぼ全人口に近い水準です。
ただし、ここで押さえるべきなのは「母語としての英語」と「第二言語としての英語」を区別することです。
自宅で英語のみを使用すると回答した人は全体の約7割であり、残る約3割は家庭内では他言語を使いつつ、社会生活では英語も並行して使うケースが大半です。

一方、英語能力に不安があると回答する人も一定数存在します。
特に高齢の移民層や、近年到着した難民・人道ビザ利用者の中には、英語でのコミュニケーションに困難を抱える人がいます。
このため、公共機関や病院、裁判所などでは通訳サービスや多言語案内が整備されており、英語一極ではなく言語アクセスの保障が重要な政策課題となっています。

英語以外の言語を話す住民の割合

自宅で英語以外の言語を使用する人は、人口の約3割に達しています。
これは、英語圏の国としては非常に高い多言語度合いであり、カナダなど他の移民国家とも肩を並べるレベルです。
この3割の人々の多くは、英語と母語の二言語を使い分けるバイリンガル、あるいは三言語以上のマルチリンガルです。

英語以外の言語を話す住民の割合は、州や都市によって大きく異なります。
シドニーやメルボルンといった大都市圏では、地域によっては住民の半数以上が家庭内で英語以外の言語を使っているエリアも珍しくありません。
一方で、地方部や内陸部では依然として英語話者の割合が圧倒的に高く、多言語化の度合いには地理的な偏りが見られます。

移民国家としての歴史と多言語化の背景

オーストラリアの言語割合を理解するには、移民政策の変遷を踏まえることが欠かせません。
20世紀半ばまでは白豪主義と呼ばれる、主としてヨーロッパ系移民を優遇する政策が採られていたため、英語に近いヨーロッパ系言語の割合が高い時期が続きました。
しかし、その後の政策転換により、アジアや中東、アフリカなどからの移民受け入れが急拡大し、言語の多様性も一気に広がりました。

特に1970年代以降、多文化主義を掲げる政策が打ち出され、民族的・言語的な多様性を積極的に認める方向へかじを切ります。
この結果、学校教育やメディア、行政サービスの分野でも多言語対応が進み、各コミュニティの言語が単なる家庭内の言葉ではなく、地域社会の構成要素として位置づけられるようになりました。
移民政策と多文化主義の組み合わせが、現在の多言語的なオーストラリアを形作っているのです。

英語の位置づけと公的には公用語がないという事実

一般に、オーストラリアは英語圏の代表的な国として認識されていますが、法制度上は明確な公用語が定められていません。
それでも現実には、政府機関の文書、裁判、教育、ビジネス、メディアなど、ほぼあらゆる公的領域で英語が用いられており、事実上の公用語として機能しています。
このギャップを理解しておくと、オーストラリアの言語政策の柔軟さが見えてきます。

英語はあくまで支配的な共通語でありつつ、他言語の存在を排除するのではなく、共存を認める方向で制度設計が行われてきました。
これにより、多言語話者が自らの言語アイデンティティを保ちながら、英語を通じて社会参加する道が確保されています。
英語の役割を押さえておくことは、多文化社会におけるコミュニケーション戦略を考える上で重要です。

事実上の公用語としての英語

オーストラリアの議会審議、裁判所、官公庁の手続き、大学教育、多くの企業活動などでは、使用言語は英語が標準です。
連邦・州レベルの法律も基本的に英語のみで制定されており、解釈論や判例も英語を前提に構築されています。
この意味で、英語は「事実上の公用語」と表現するのが妥当です。

ただし、選挙や重要な行政手続きにおいては、多言語での案内パンフレットや通訳サービスが用意される場合も多く、英語が分からないことによって基本的な権利行使が妨げられないよう配慮されています。
公的領域では英語が中心である一方、補助的に他言語へのアクセスを保証する仕組みが組み込まれている点が特徴です。

法的に公用語を定めていない理由

オーストラリアが英語を法的な公用語として明記していない背景には、いくつかの要因があります。
一つは、英語がすでに社会の実務において圧倒的な位置を占めているため、あえて法的に規定する必要性が高くなかったという実務的な理由です。
もう一つは、多文化主義の理念から、特定の言語のみを特権的に位置づけることへの慎重さがあったと考えられます。

また、オーストラリアは英語だけでなく、先住民言語を含む多言語の継承と保護を支援する立場をとっています。
単一の公用語を法律で定めてしまうと、象徴的に他言語が劣後して見えてしまう懸念もあります。
こうした事情から、事実上は英語中心でありながらも、法的には柔軟な枠組みを維持するという選択がなされていると理解できます。

教育やビジネスにおける英語の役割

学校教育では、授業の言語は基本的に英語です。
初等教育から高等教育まで、カリキュラムは英語で設計され、評価も英語を前提として行われます。
その一方で、第二言語科目として多くの学校が中国語、イタリア語、日本語、フランス語などを提供しており、英語を基盤としつつ他言語への理解を促す教育が進んでいます。

ビジネス領域では、国内取引や雇用契約、公式な報告書などは英語が標準となりますが、移民コミュニティを顧客とするサービス産業などでは、現地語での対応が競争力の源泉となるケースも増えています。
特に都市部の不動産、金融、教育、観光業では、中国語やアラビア語、ヒンディー語などでの情報提供や接客が日常的です。
英語は共通の基盤でありつつ、他言語の実務的価値も高まっているのが現状です。

国勢調査から見る主要言語の割合ランキング

オーストラリアで話される言語の割合を具体的に把握するうえで、最も信頼できる統計の一つが国勢調査です。
国勢調査では、自宅で普段使用している言語を質問し、その集計結果から主要言語の分布が明らかになります。
ここでは英語を含めた上位の言語の割合と、簡単な特徴を整理して確認していきます。

このデータからは、移民の出身地域に対応する言語が上位を占めていることが分かります。
ヨーロッパ系言語も依然として存在感を保ちながら、近年はアジア系言語のシェアが大きく伸びています。
こうした変化は、留学やビジネス、移住を考える人にとって、どの言語運用能力を強化すべきかを考える参考材料にもなります。

自宅で使用される言語トップ10

国勢調査の結果を基に、自宅で主に使用されている言語の上位を概観すると、英語を除いたトップ層には中国語系、アラビア語、ベトナム語、イタリア語、ギリシャ語などが並びます。
これは、中国本土や中東、ベトナム、南欧からの移民コミュニティが強い存在感を持っていることを物語っています。

言語別の人数規模だけでなく、その地理的な偏在にも注目する必要があります。
例えば、中国語はシドニーとメルボルンで特に多く話され、アラビア語も大都市圏での集中が顕著です。
一方、イタリア語やギリシャ語は、戦後移民の歴史を背景に、特定のサバーブでコミュニティを形成しつつ、高齢化も進んでいます。
以下の表は、代表的な言語と傾向を整理したものです。

言語 特徴的な背景
英語 事実上の共通語。自宅で英語のみ使用が約7割
中国語系 中国本土・香港・台湾などからの移民。都市部で著しく増加
アラビア語 中東・北アフリカ系移民。宗教コミュニティと結びつきが強い
ベトナム語 難民受け入れ期以降の歴史。家族・親族ネットワークが堅固
イタリア語 戦後移民の主要言語。第二世代以降は英語へのシフトが進行
ギリシャ語 イタリア語と同様に歴史が長い。文化・宗教行事で使用継続

中国語・アラビア語・ベトナム語など主要他言語の割合

英語以外の主要言語として、近年特に注目されているのが中国語系の言語です。
普通話や広東語などを合わせた中国語系言語は、英語以外では最大規模のコミュニティを形成しており、自宅でこれらを話す人の割合は人口全体の数パーセントに達します。
特定の都市や地域に限れば、そのシェアはさらに高くなります。

アラビア語も、近年増加傾向にある重要な言語です。
シリアやレバノン、イラクなどからの移民・難民が増えたことにより、大都市圏を中心にアラビア語話者の比率が上昇しています。
ベトナム語は、難民受け入れが本格化した時期から定着したコミュニティを背景に、一定の割合を維持しており、飲食業やサービス業など地域経済への貢献も顕著です。

ヨーロッパ系言語とアジア系言語の比較

オーストラリアの言語割合の推移を見ると、ヨーロッパ系言語からアジア系言語へと重心が徐々に移ってきたことが分かります。
イタリア語やギリシャ語、ドイツ語などは、戦後移民の第一世代が高齢化し、第二世代・第三世代では英語への言語シフトが進んだため、家庭内使用の割合は緩やかに減少しています。

一方で、中国語、ヒンディー語、パンジャブ語、タガログ語などアジア系言語は、比較的新しい移民と出生率の高さを背景に、着実に割合を伸ばしています。
この違いは、移民受け入れの時期や、母語維持に対するコミュニティの姿勢、教育機関でのサポート体制の差などとも関係しています。
今後もアジア系言語の存在感は、都市部を中心に高まっていくと見込まれます。

先住民言語の現状と話者割合

オーストラリアの言語事情を語る際、アボリジナルやトレス海峡諸島民の先住民言語を抜きにすることはできません。
これらの言語は、英語到来より遥か以前から大陸全域で育まれてきたものであり、多様な文化・世界観を映し出す貴重な遺産です。
同時に、植民地化の過程で大きな打撃を受け、多くの言語が消滅または話者激減の危機にさらされてきました。

近年では、先住民コミュニティや政府機関、研究機関が連携し、言語の復興や継承プログラムが進められています。
こうした取り組みにより、一度は日常使用がほぼ途絶えた言語が学校教育やコミュニティ活動を通じて息を吹き返す例も出てきました。
先住民言語の話者割合は全人口から見ると小さいものの、その象徴的な重要性は極めて大きいと言えます。

先住民言語の数と分類

オーストラリア大陸には、かつて数百に及ぶ先住民言語が存在したとされています。
それぞれが独自の音韻体系や語彙、文法構造を持ち、多様な文化や生態系知識を体現していました。
今日では、日常的に話者を持つ言語の数は大きく減少しましたが、記録や再生に向けた取り組みによって、多くの言語が再び学習の対象として位置づけられつつあります。

言語学的には、オーストラリア先住民言語は複数の語族やグループに分類されます。
これらの分類は、語彙や文法の共通性、歴史的な拡散パターンなどに基づいて行われており、言語を通じて先住民社会の相互関係や移動史を読み解く研究も進んでいます。
数の上では小さくとも、学術的・文化的価値が非常に高い領域です。

話者人口と減少の歴史的背景

先住民言語の話者割合は、オーストラリア総人口の中では数パーセントにも満たない規模です。
多くの言語で若年層の話者が少なく、世代間の継承が課題となっています。
この背景には、過去の同化政策や、英語教育を通じて先住民言語の使用を抑制してきた歴史的経緯が存在します。

特に、いわゆる盗まれた世代と呼ばれる先住民児童の強制収容・養子縁組政策は、家庭内での言語継承を断ち切る要因となりました。
これにより、多くの人が自らの民族言語を十分に学ぶ機会を持てず、英語への一方向的な言語転換が進んだのです。
こうした歴史的背景を理解することは、現在の復興運動の意義を正しく評価する上で欠かせません。

復興プロジェクトと教育現場での取り組み

近年、先住民言語の価値を再評価する動きが強まり、各地で復興プロジェクトが展開されています。
具体的には、言語ドキュメンテーション、辞書や教材の作成、コミュニティクラスの開講、学校での言語科目としての採用など、多角的なアプローチが取られています。
これにより、子どもたちが自らの文化と言語を誇りを持って学べる環境が整いつつあります。

教育現場では、先住民言語を単なる科目として教えるだけでなく、歴史や地理、芸術など他教科と結びつけて学ぶ統合的プログラムも導入されています。
また、先住民の長老や話者が授業に参加し、生きた言語と文化を伝える取り組みも行われています。
こうした実践は、話者人口の絶対数をただ増やすだけでなく、社会全体の理解と尊重を深める役割も果たしています。

州別・都市別に見る言語多様性と地域差

オーストラリア全体の言語割合だけでは、多文化社会の実像を十分に捉えきれません。
実際には、州や都市、さらにはサバーブ単位で言語構成が大きく異なります。
この地域差を理解しておくと、留学先や移住先、ビジネス展開地域を検討する際に、どのような言語環境が待っているのかを具体的にイメージしやすくなります。

大都市圏では、多言語が日常的に飛び交う環境が一般的で、看板や公共交通の案内に複数言語が併記されていることも珍しくありません。
一方で、地方都市や内陸部では英語が圧倒的多数であり、他言語を目にする機会は相対的に少なくなります。
このような地域的なコントラストは、オーストラリアの広大な国土と移民定住パターンを反映したものです。

シドニー・メルボルンにおける多言語環境

シドニーとメルボルンは、オーストラリアでも特に多文化・多言語度が高い都市です。
これらの都市では、自宅で英語以外の言語を話す人の割合が全人口の約4割近くに達する地域も存在し、街を歩けば中国語やアラビア語、ベトナム語、インド系言語などが聞こえてきます。
飲食店や商業施設でも、多言語での案内やメニュー表記が一般的です。

教育機関でも、多様な言語背景を持つ子どもたちが在籍しており、英語学習支援や母語継承プログラムが重要なテーマとなっています。
また、大学や研究機関には各国からの留学生や研究者が集まり、キャンパス自体が国際的な言語空間となっています。
このような環境は、語学を実践的に活用しながら生活したい人にとって、大きな魅力となります。

ブリスベン・パース・アデレードなど他主要都市の特徴

ブリスベン、パース、アデレードなど他の主要都市も、多言語化が進んでいる点では共通していますが、それぞれに特色があります。
ブリスベンでは、アジア系や太平洋諸島出身のコミュニティが増え、学校現場では多様な言語背景を持つ児童へのサポートが重視されています。
パースは資源産業に関連した国際労働者の受け入れや、アフリカ・中東系コミュニティの増加が特徴的です。

アデレードは、他都市に比べると落ち着いた規模ながら、歴史的なヨーロッパ系コミュニティと新しい移民コミュニティが混在しています。
各都市の経済構造や移民受け入れのパターンによって、優勢な言語やコミュニティの構成が異なっており、同じオーストラリア国内でも言語環境にかなりのバリエーションがあることが分かります。

地方部における英語優位と言語選択

一方、地方部や内陸の小都市・農村地域では、英語が圧倒的優位を保っており、日常生活で他言語を耳にする機会は、都市部に比べて格段に少なくなります。
移民の多くは、仕事やコミュニティの存在を理由に大都市圏に定住する傾向が強く、地方部には比較的移民が少ないためです。

ただし、地方部には先住民コミュニティが存在する地域も多く、そこでは先住民言語が文化的な中心的役割を果たしています。
また、近年は地方都市へのスキル移民や留学生の分散を図る政策も進んでおり、今後は地方部でも徐々に言語多様性が高まる可能性があります。
言語環境を重視して居住地を選ぶ場合には、このような地域差を踏まえて検討することが望ましいです。

多言語社会としての政策・教育・サービスの現状

オーストラリアが多言語社会として機能している背景には、単なる人口構成の変化だけでなく、それを支える政策や制度の存在があります。
多文化主義を掲げる同国では、言語の多様性を資源として捉え、教育や公共サービス、メディアなどで多言語へのアクセスを確保する取り組みが続けられています。

言語を理由とする不利を軽減することは、社会的包摂と機会均等の観点から重要です。
また、ビジネスや外交、観光など経済的な分野においても、多言語能力は競争力の一要素として評価されています。
ここでは、教育制度、公共サービス、メディア・ビジネスの三つの観点から、現在の取り組みを概観します。

学校教育における第二言語教育の位置づけ

オーストラリアの学校教育では、英語が基盤となる一方で、第二言語教育も重要な柱と位置づけられています。
多くの公立・私立学校が、中国語、日本語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、インドネシア語などの第二言語科目を提供しており、州や学校によって重点言語は異なります。
これにより、生徒は英語以外の言語と文化に触れる機会を得ています。

また、移民家庭や先住民コミュニティに対しては、英語学習支援と並行して、母語継承を支援するプログラムも存在します。
バイリンガル教育モデルを採用する学校では、特定の科目を英語と母語の両方で教える試みも行われています。
このような教育環境は、個人の言語能力の向上だけでなく、多文化理解や異文化間コミュニケーション能力の育成にも寄与しています。

通訳・翻訳サービスと行政の多言語対応

多言語社会を支える重要な基盤として、通訳・翻訳サービスがあります。
オーストラリアでは、連邦・州レベルで電話通訳サービスや対面通訳サービスが整備されており、医療機関、裁判所、警察、福祉サービスなどで幅広く活用されています。
これにより、英語に不慣れな住民も、必要な情報やサービスにアクセスしやすくなっています。

行政機関のウェブサイトやパンフレットでは、主要移民コミュニティの言語に翻訳した情報を提供することが一般的です。
選挙関連情報や健康・安全に関わる重要なお知らせは、多言語で発信されることが多く、言語能力の差による情報格差を縮小する工夫がなされています。
こうした仕組みは、多文化社会における民主主義と公共サービスの根幹を支えるものと言えます。

メディア・ビジネスにおける多言語活用

メディア分野では、英語のテレビ・ラジオ・オンラインメディアが主流である一方、各言語コミュニティ向けの放送や出版も活発です。
ラジオ放送では、多数の言語に対応した番組が編成されており、ニュースや音楽、トーク番組を通じてコミュニティのつながりを支えています。
新聞やオンラインニュースでも、中国語やアラビア語など主要言語向けの媒体が存在し、多様な情報源が提供されています。

ビジネスの現場では、顧客獲得や海外市場との連携のために、多言語人材の需要が高まっています。
観光業、教育ビジネス、不動産、金融サービスなどでは、中国語、韓国語、日本語、アラビア語などでのマーケティングや顧客対応が日常的に行われています。
多言語対応は単なる付加価値ではなく、戦略的な投資対象として認識されつつあります。

移住・留学・ビジネスで押さえるべき言語選択のポイント

オーストラリアに移住・留学・ビジネス進出を検討する人にとって、どの言語能力をどの程度備えるべきかは重要な検討課題です。
言うまでもなく英語は不可欠ですが、それに加えて、どの地域にどのような多言語ニーズがあるのかを理解しておくことで、戦略的な言語学習計画を立てることができます。

ここでは、英語力の水準、多言語スキルの活かし方、子どもの言語教育など、実務的な観点から押さえておきたいポイントを整理します。
将来のキャリアや生活の質を左右するテーマですので、自身の目的に合わせて慎重に検討することが大切です。

英語力と補完的な多言語スキル

オーストラリアでの生活や学業、仕事をスムーズに進めるためには、まず英語力の確保が前提となります。
日常生活レベルにとどまらず、専門分野の学習・業務に対応できるリーディングやライティング力が求められる場面も多く、留学や就労ビザの取得には一定の英語試験スコアが必要となる場合が一般的です。

そのうえで、自身のバックグラウンドやキャリア志向に応じて、英語以外の言語スキルを戦略的に位置づけることが重要です。
例えば、日本語話者であれば、日本語と英語のバイリンガルとして観光業や教育、企業の海外事業部門などで活躍できる可能性があります。
さらに、中国語や韓国語など第三言語を加えれば、アジア太平洋地域をまたぐビジネスや通訳・翻訳などで一層の優位性を持てます。

業種別に求められる言語ニーズ

業種によって、求められる言語能力の内容やレベルは大きく異なります。
医療・福祉分野では、患者や利用者の母語で基礎的な説明や安心感を与えられる能力が重視され、通訳との連携も必要です。
観光業や接客業では、日常会話レベルの多言語コミュニケーション力が顧客満足度に直結します。

金融・法律・コンサルティングなどの専門職では、高度な英語力に加えて、契約交渉やレポート作成を他言語でもこなせる人材が重宝されます。
教育分野では、英語教育の専門家としてだけでなく、日本語や中国語などを教える教師の需要もあります。
このように、言語スキルの使い方は分野ごとに異なるため、自身のキャリアプランを踏まえた言語戦略が求められます。

子どものバイリンガル・マルチリンガル教育

家族での移住を考える場合、子どもの言語発達と教育方針は大きなテーマとなります。
オーストラリアの学校環境は、英語学習を支援しつつ、家庭の母語を尊重する方向にありますが、家庭内での言語使用方針も重要な役割を担います。
家庭で一貫して母語を維持しつつ、学校で英語を習得するという二言語環境を整えることで、バイリンガルとしての成長が期待できます。

ただし、思春期以降になると、子どもが英語を優先し母語を避ける傾向が生じることもあり、長期的なモチベーション維持には工夫が必要です。
母語で読書や会話をする時間を意識的に設けたり、補習校やオンラインクラスを活用したりすることで、バランスの良いマルチリンガル教育が実現しやすくなります。
将来、子どもが国際的なキャリアを志す場合、多言語能力は大きな資産となるでしょう。

まとめ

オーストラリアの言語割合を俯瞰すると、英語が事実上の共通語として社会の中核を担いながらも、人口の約3割が家庭内で英語以外の言語を使用する、多言語社会であることが分かります。
中国語やアラビア語、ベトナム語などの移民言語が存在感を増す一方で、イタリア語やギリシャ語など歴史あるヨーロッパ系言語、そして先住民言語もそれぞれ独自の位置を占めています。

国や州の政策は、多文化主義の理念に基づき、教育や行政サービス、メディアにおいて多言語アクセスを確保する方向で整備されてきました。
この環境の中で、英語力は依然として不可欠ですが、補完的な多言語スキルをどのように組み合わせるかが、個人のキャリアや生活の質を左右します。
移住や留学、ビジネス展開を考える際には、自身の目的と居住地域の言語環境を照らし合わせ、戦略的に言語選択と学習計画を立てることが重要です。

オーストラリアの言語事情を理解することは、単に会話の道具としての言葉を知るだけではなく、この国が歩んできた歴史や、多様な人々が共に生きる社会のあり方を理解することにも直結します。
英語圧倒的な国でありながら、多様な言語が共存するオーストラリアならではの環境を、ぜひ自身の学びやキャリア形成に生かしていってください。

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